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症例6 突発性難聴

■突発性難聴とは
突発性難聴は、それまで耳の病気を経験したことのない人が明らかな原因がないにもかかわらず、ある日突然、左右の耳の一方(ごくまれに両方)が聞こえが悪くなり、耳鳴りやめまいなどを伴う原因不明の疾患です。
音をうまく感じ取れない難聴(感音難聴)のうち「原因がはっきりしない難聴の総称」が「突発性難聴」で、幅広い年代に起こりますが、特に働き盛りの30~50歳代に多くみられ、発生率にそれほど男女差はありません。
最近ではスマホなどの電子機器類の影響で若い方の突発性難聴も増えています

厚生労働省では、突発性難聴の診断基準を「突然の、文字どおり即時的な難聴、または朝目が覚めて気づくような難聴。ただし、難聴が発生したとき、就寝中や作業中など、自分がそのとき何をしていたかが説明できるもの」などとしています。
何月何日に発症したとはっきりわかるのが特徴で、難聴が徐々に悪化したり、日によって聞こえの程度が変ったりすることはありません。
また約3割にめまいが起こりますが、一時的なもので、繰り返すこともありません。
ストレスや過労、睡眠不足、糖尿病などがあると起こりやすいことがわかっています。
聴力を回復させるには、早めに治療を開始することが重要です。
できれば1週間以内、遅くとも2週間以内の治療開始が必要です。


■難聴の分類
難聴を分類すると
難聴は、大きく「伝音性難聴」「感音性難聴」に分類されます。

1.伝音性難聴
伝音性難聴とは、音を拾って増幅する器官(外耳道・鼓膜・耳小骨など)に異常が発生するもので、耳垢詰まり、中耳炎、鼓膜損傷などが該当します。基本的には治療法が確立されており、聴力の回復が期待できる難聴です。

2.感音性難聴
感音性難聴は、音を信号に変換し脳に伝える神経系(内耳や大脳)に異常が発生するもので、聴力の回復は非常に困難です。突発性難聴やメニエール病、先天性難聴、老人性難聴、騒音性難聴、薬剤性難聴などが該当します。


■突発性難聴の症状
●前日は何ともなかったに、朝起きるとテレビの音が聞こえにくい
●前触れなく、突然、電話の音が急に聞こえなくなる
●まったく聞こえなくなる人もいる。
●高音だけが聞こえなくなる人もいる(日常会話に必要な音は聞こえるため、難聴に気づくのが遅れてしまいがち)
●聞こえにくさは人によって異なる。
●聴力が改善したり、悪化したりを繰り返すといった症状の波はない。
●難聴の発生と前後して、耳閉感(耳が詰まった感じ)や耳鳴り、めまい、吐き気などを伴うケースも多い。
●耳鳴りで受診したら突発性難聴だったという人もいる。
●難聴やめまいが起こるのは1度だけで、メニエール病のように繰り返すことはない。

突発性難聴は、上記のような症状を問診で確認したり、さまざまな聴力検査や画像診断を行って診断されます。発症後出来るだけ早く治療をスタートさせないと、難聴や頑固な耳鳴りが残ったり、聴力を失うこともあるため、早めの受診と治療開始が大切です。


■突発性難聴の原因
突発性難聴は、音を感じ取って脳に伝える役割をしている有毛細胞が、なんらかの原因で傷つき、壊れてしまうことで起こると言われています。
有毛細胞が傷つき壊れる原因は不明で、まだ明らかになっていません。
有力な説としては、「有毛細胞に血液を送っている血管の血流障害による循環障害説」や「ウイルス感染が原因である ウイルス感染説」などが考えられていますが、 突発性難聴の原因は一つではなく、さまざまな原因が組み合わさったものではないかと考えられています。
ストレスや過労、睡眠不足などがあると起こりやすいことが知られており、糖尿病が影響しているともいわれています。

突発性難聴は、適切に治療すれば、患者さんの3分の1は完治し、3分の1は難聴や耳鳴りが残るものの症状は軽くなり、あとの3分の1は残念ながら治らずに終わると言われています。
目安として、
(1)2週間以内に治療開始
(2)初診時の難聴が高度(90デシペル以上)ではない
(3)めまいがない
(4)比較的年齢が若い
などの条件を満たせば完治しやすいといわれます。

治療開始が遅れれば遅れるほど治療効果が下がり、完治が難しくなってしまうので、注意が必要です。
突発性難聴は、発症して14日以内に治療を受けることが大切であり、急に聞こえにくくなったと思ったらまずは耳鼻科で必要な検査・治療を受けてから、当院でも治療を開始することをお勧めします。


■突発性難聴の治療
突発性難聴(耳鳴り・うなだれ首・不眠・めまい・頭痛などの脳神経の不具合による様々な難治性不定愁訴も含む)は、脳幹部の慢性的な血行障害が原因であると推測されています。
脳細胞は大量の酸素を消費するため、わずかな血行不良にも弱く、年齢と共に血栓や梗塞などで徐々に脳細胞が死滅していきます。
そのため、脳幹(視床下部や延髄)の血行障害を改善させる治療が突発性難聴に大きな効果を発揮すると言われています。
突発性難聴などの脳神経・延髄由来の難病には、脳の血行不良を改善し、自然治癒力を高めることが期待できる頚部神経節ブロック(星状神経節ブロック・上頚神経節ブロック)が極めて有効です。

1.神経ブロック療法
<頚部神経節ブロック注射(星状神経節ブロック・上頚神経節ブロック)>
頚部の交感神経は、頚部に上・中・下の3ヶ所存在し、このどれかの神経節に局所麻酔薬を注入することを頚部神経節ブロックといいます。
頚部神経節ブロックは、脳動脈から各脳神経にいたる多くの血管を拡張させる作用があります。
特に、自律神経・免疫・内分泌の中枢である脳幹部(視床下部や延髄)の機能を正常にするので、体全体の自然治癒力を高め、自律神経・免疫・内分泌系の様々な疾患にも有効です。
頸部神経節ブロックは重要な交感神経の密集地帯へのブロックなので、手技にある程度熟練が必要ですが、当院では安全に行うためにエコー(超音波)を用いて、神経・血管・筋肉・関節などをリアルタイムで確認しながら頸部神経節の位置を確認し、ブロックを実施するので安心して受けて頂けます。

(1)星状神経節ブロック
頚部の一番下の神経節である星状神経節(頭・顔・首・腕・前胸部を支配する自律神経のツボ)に注射をする事により、自律神経・免疫・内分泌の中枢である脳の視床下部の機能を正常にし、体全体の自然治癒力を高める治療法なので、自律神経・免疫・内分泌系の様々な症状が改善されます。

(2)上頚神経節ブロック
頚部にある一番頭側の上頚神経節に注射する事により、脳動脈から各脳神経にいたる多くの血管を拡張させる作用があります。特に、脳幹部の血行を改善する作用は星状神経節ブロックよりも高いと言われ、突発性難聴に非常に有効です。

2.リハビリ(理学療法・物理療法)
<レーザー治療>
当院のレーザー治療器は突発性難聴に効果があります。頚部神経節ブロック(星状神経節ブロック・上頚神経節ブロック)と近似の効果があります。頚部の交感神経は、頚部に上・中・下の3ヶ所存在し、レーザーを照射する場所により効果が変わってきます。突発性難聴には頸部の一番上の上頚神経節に照射するレーザーが特に大きな効果があります。
レーザー光が血管や神経に作用し、血流を改善し、神経を正常に戻す作用があり、治癒力や免疫力を高めます。
痛みを伴わず、副作用のない安全な治療器です。レーザーの治療器としては最高出力で、短時間で高い効果が出せます。

3.薬物療法
突発性難聴は、内耳の循環障害やウイルス感染も原因として有力視されており、ステロイド剤、血管拡張剤(プロスタグランジンE1製剤)、ビタミン剤(ビタミンB12製剤)、代謝を高める代謝促進薬(ATP製剤)、血液を固まりにくくする薬剤、抗ウイルス薬、漢方薬、副腎皮質ステロイド薬による点滴など、患者さんの状態に合わせ、様々な薬物療法を行います。

※まずは耳鼻科で必要な検査を受けてから、当院へご来院下さい。


■突発性難聴の症例
①来院までの経緯 (39歳 女性)
3ヶ月前、キーンと激しい耳鳴りが生じ放置していたら、突然左耳が聞こえなくなり、耳鼻科を受診した。
突発性難聴と診断された。めまいも併発するようになり、抗ウイルス薬・ステロイド薬、末梢神経障害薬・めまい薬など処方されたが、改善せず、ステロイド点滴治療で1週間入院したが、副作用もある上、ほとんど効果がなかった。
鼓膜内注射や高気圧酸素治療も試み、鍼灸治療もしたが、治らず途方にくれておられた。
②治療経過
頚部神経節ブロック(星状神経節ブロック・上頚神経節ブロック)が難聴に効果があるとネットで知り、来院された。突発性難聴になってから、病院を転々とするも良くならず、今のままでは右耳も聞こえなくなるのではと絶望されていた。
脳血流や耳への血流を改善する頚部神経節ブロックが有効とわかりとても安心された。
はじめは、頚部神経節ブロックを間隔を詰めて行い、症状が落ち着いてきたら、週に1度実施し「今までの難聴が嘘のように和らぎ、当たり前でなかった普通の生活がやっと出来るようになった」と喜んで頂けた。
③考察
頚部神経節ブロック(星状神経節ブロック・上頚神経節ブロック)は、効果の現れ方に個人差がありますが治療直後から効果が実感できる方もいます。
又、複数回くり返すことで効果が現れる方もいるので、すぐに効果が出なくても何度か続けて実施して頂きたいです。
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