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症例8 頭痛について

■頭痛とは?
『頭痛』は、日本人の約3~4割の人が慢性的な頭痛を持っていると言われていますが、我慢強い日本人社会では頭痛は病気であるとの認識が低いようです。まずは「頭痛は病気である」ということを認識し、知識や理解を深め、適切な指導・治療を受けて、快適な生活を送れるよう心がけましょう。


■頭痛の症状
ひと口に頭痛といっても、頭痛の原因は様々であり、痛みの強さや部位など、人によって症状が異なります。また、なかには生命が脅かされる危険な頭痛もあるので、頭痛の正しい診断と治療を行うことが出来る医師にかかることが非常に重要です。頭痛には「他に疾患がない一次性頭痛」「他の疾患が原因で起こる二次性頭痛」があります。大半が一次性頭痛で、二次性頭痛は頭痛患者の約1割と言われています。しかし、二次性頭痛の中にはくも膜下出血のように見逃されると死につながる頭痛が含まれていますので、まずは、自分がどのタイプの頭痛か、その頭痛の正しい治療は何か、合併症はないか、など頭痛を正しく診断し治療してくれる病院を早期に受診しましょう

1、一次性頭痛(他に疾患がない頭痛)
緊張型頭痛
筋肉・精神的緊張(身体的・精神的ストレス)が原因の頭痛を緊張型頭痛と言い、頭痛を訴える人の大半がこのタイプと言われています。無理な姿勢の維持や長時間のパソコンの使用などによって頭から肩にかけての筋肉が緊張し血流が悪くなると、乳酸などの疲労物質が筋肉にたまり、これが神経を刺激して痛みを引き起こすと考えられています。徐々に痛くなってくる頭痛で、両側の後頭部から首筋にかけてはちまきで締め付けられるような痛みや頭重感が、1週間位持続し、多くの場合、肩こりや眼の疲れ等を伴います。コンピューターの前に長時間座っているような人に多く、精神的ストレスを原因とする緊張型頭痛には、生真面目な性格や几帳面さを持った人がかかりやすいと言われています。

片頭痛
頭の血管が拡張して炎症を起こし、血管周囲の神経が刺激されて起こる頭痛に片頭痛があります。片頭痛は、頭の片側または両側が脈打つようにズキンズキンと痛む病気です。我慢できないほどの拍動性の激しい頭痛で、月に数回、発作的に起こり、ひどい時は寝込んでしまいます。吐き気や嘔吐を伴ったり、音や光に過敏になったりする場合があります。ストレスのある状態を続けたあと、一段落してホッとしたとき(休日など)にも頭痛が起こります。頭痛は数時間程度のこともあれば、3日間くらい続くこともあります。一般に20代~50代の女性に多く見られます。

群発頭痛
群発頭痛の名称は群発地震のように、ある期間に集中して頭痛が起こるところからつけられました。群発頭痛は年に数回から数年に1回くらいの頻度で起こりますが、一度発症すると1~2ヶ月にわたって、ほとんど毎日、ほぼ同じ時間帯に激しい頭痛におそわれます。じっとしていられず、転げまわる人もいるほどです。 片側の目の奥が強烈に痛むのが特徴で、群発頭痛の原因については残念ながらまだはっきりとしていませんが、副交感神経の刺激により、同じ側の目や鼻に涙・鼻水・鼻づまりなどの症状が現れます。女性に多くみられる片頭痛に対して、群発頭痛は20~40歳代の男性が中心となり、女性の4~5倍にのぼるともいわれます。

2、二次性頭痛(他の疾患が原因で起こる頭痛)
生命の危険があるくも膜下出血や脳腫瘍や髄膜炎などによる頭痛の他に、市販の頭痛薬を飲みすぎるために起こる薬物乱用頭痛や顎関節症や三叉神経痛などによる頭痛、もありますので、必ず早期に医師の診断を受けましょう。

■頭痛の治療
1.薬物療法
筋肉・精神的緊張緩和に筋弛緩薬・循環改善薬・抗不安薬、炎症を抑える消炎鎮痛薬などを処方します。漢方薬による治療も有効です。片頭痛の場合は、血管拡張を抑制し予防するトリプタン製剤(発作時も有用な特効薬)を処方します。

2.神経ブロック療法
痛みの引き金となる部位にトリガーポンイト注射や星状神経節の近くに局所麻酔薬を注射する星状神経節ブロックを行うことで、痛みの信号の脳への伝達を抑え、痛みを和らげます。特に、トリガーポイント注射は後頚部の筋肉の血流を改善し、星状神経節ブロックは上半身の血流や自律神経を正常にすることで頭痛を緩和する効果があります。

3.リハビリテーション
温熱療法にキセノン、圧痛点・経穴にレーザー照射、筋肉の収縮により筋肉を和らげる高周波などの物理療法や理学療法と、作業療法士による理学療法や作業療法を行います。

4.徒手療法
関節の動きを改善させる関節アプローチ療法や関節リリース療法などの各種手技療法も効果的です。


■「頭痛」の症例1
「頭痛」の症例紹介です。
①来院までの経緯 (39歳 男性、頭痛歴15年)
 仕事で長時間パソコン作業を行う。20代から頭が締め付けられるような痛みや目の奥の痛みに悩まされ、鎮痛剤で治っていたが、徐々に効き目が悪くなり薬の量や頻度が増え、最近では鎮痛剤が効かなくなった。毎日ひどい頭痛が起こり仕事にならないので、当院が痛み専門クリニックと知り来院された。
②治療経過
 肩こりや眼精疲労などで首や肩の筋肉が緊張し血流が滞り老廃物が痛みの神経を刺激して発症する緊張型頭痛のケースでしたので、後頚部にあるトリガーポイント(痛みの引き金となる場所、多くはツボと一致)に神経ブロック注射を行い、血流を改善し、老廃物や発痛物質を洗い流すことで症状が大きく緩和されました。又、神経ブロック注射により鎮痛剤の服用量が減り鎮痛剤乱用による頭痛が軽減され喜ばれた。
③考察
 別名肩こり頭痛とも言われる緊張型頭痛は日本人の頭痛の約半数を占めます。緊張型頭痛の正しい治療を行わず鎮痛剤に頼り飲みすぎることで、それが原因で新たに薬物乱用頭痛に至っている方が多くいらっしゃいます。

■「頭痛」の症例2
①来院までの経緯 (42歳 女性、頭痛歴25年)
 十代の頃から、頭の締め付け感や重さがあり、肩こりからくる頭痛と言われ、市販の鎮痛剤で対応されていた。しかし、最近では鎮痛剤も効かず、月に1~2回は動くとガンガンした頭痛や吐き気に悩まされ、そうなると何も手につかない状態なので、見かねたご家族が調べて、当院に来院された。

②治療経過
 毎日起こる緊張型頭痛に加え、年数を経て、月に数回起こる片頭痛が合併したケースです。頭が締め付けられる特徴のある緊張型頭痛に対して、市販の痛み止めのみで対応されていたので、後頚部の筋肉の血流を改善するトリガーポイント注射と上半身の血流や自律神経を正常にする星状神経節ブロックを行い、日常の頭痛が軽減したと喜んで頂いた。また、動くとガンガンする痛みや吐き気が特徴の片頭痛を合併されていたので、片頭痛の予防薬を処方し発作が起きても怖くなくなったと言って頂いています。

③考察
 頭痛が酷くなった原因は①緊張型頭痛の治療として鎮痛剤のみで対応したこと②偏頭痛の合併に気づかずその治療をしなかったことが考えられます。どのタイプの頭痛か、その頭痛の正しい治療は何か、合併症はないか、頭痛のタイプが年数を経て変化してないか、等頭痛の正しい診断と治療を行うことが出来る専門医にかかることが非常に重要です。

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