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「症状は川の流れのように」
1.風邪の場合
‘熱が出た’、‘口が痛い’。
どんな症状もその前に何かのエピソードがあり、その結果で起きています。
例)風邪:
①‘傘を忘れずぶぬれになった’
↓
②‘ずぶぬれのままでずっといた’
↓
③‘風邪をひいた’
↓
④‘熱が出た’
熱があまりに高い時、解熱薬を使います。しかしそれは根本的治療ではありません。風邪には安静・休養が治療になります。風邪が治れば熱は自然に下がります。私はこのような一連の経過を、いつも「川の流れ」のように感じます。
①は上流の里を流れる川、
②は中流の町々を流れる川、
③は海の直前の河口、という感じです。
私たちは何らかの不快な症状(=河口の症状)を感じると、それを取り去りたいと考えます。そしてその症状が落ち着けば、その原因が残っていても気にしなくなります。でも、本当にそれだけでいいのでしょうか?実はメンタルから起きる体の症状(=身体症状症)の場合、それだけでは真の改善になりません。
2.口が痛い場合
‘口が痛い’が身体症状症だった場合で考えてみましょう。
例)口内痛:
①‘何でも悪く考える癖がある’
↓
②‘痛い部分に異常はないと言われるとそれは難病でどんどん悪くなると考える’
↓
③‘すごく不安になる’
↓
④‘口が痛い’
何かの不安を契機に生じた口の痛みには、通常の鎮痛薬は効きません。そして、①からの川の流れが繰り返され、④の口内痛が増強されます。抗不安薬を服用すると鎮痛薬でもないのに痛みがましになります。なぜなら、それは川の上流に対処できているからです。しかし、これも根本的治療にはなっていません。そもそもの源は‘なんでも悪く考える癖がある’です。これを放置すれば、何度でも同じ悪循環を繰り返します。川の流れを正しく理解し、①の源に対する考え方の工夫(=認知療法)を実践することこそが、真の治療になります。感じている症状は、長い長い川の流れの最後の河口部分です。身体症状症はそこだけ対処してもよくなりません。川の一番上流に何があるかを知り、それへの対処能力を身につけることが何より大切です。
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