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痛信vol．111「帯状疱疹後神経痛の治療について」、「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」

「帯状疱疹後神経痛の治療について」

1.「帯状疱疹」と「帯状疱疹後神経痛」の痛みのメカニズム

当院の来院理由第一位「帯状疱疹」について特集第6弾です。
1.「帯状疱疹」と「帯状疱疹後神経痛」の痛みのメカニズム
「帯状疱疹の痛み」はウイルスが通過することで皮膚や神経に炎症が生じ一過性の炎症による急性期の痛みで炎症が治まってくると軽快していきますが「帯状疱疹後神経痛」はウイルスが通過する際に神経が破壊され神経そのものが損傷することによる痛みであるため回復しにくく長期に痛みが残存する場合があります。
＜痛みのメカニズムの違いまとめ＞
①特徴→帯状疱疹の痛み、帯状疱疹後神経痛の痛み
②原因→ウイルスによる神経炎症と皮膚病変、神経の損傷と異常な神経再生
③痛みの種類→急性痛（炎症による痛み）、慢性痛（神経損傷による持続的痛）
④痛みの期間→帯状疱疹の皮疹出現～治癒、皮疹が治った後も長期間持続
⑤メカニズム→神経炎症と皮膚痛覚受容器の反応、神経損傷・異常神経伝達・中枢感作
⑥痛みの性質→刺すような痛みや焼けるような痛み、電撃痛・異痛症・感覚異常
このように、両者の痛みはメカニズムが異なるため、帯状疱疹は抗ウイルス薬や炎症を抑える治療が中心ですが、帯状疱疹後神経痛では神経の異常な活動を抑える治療が重視されます。

2. 帯状疱疹後神経痛の治療法

2. 帯状疱疹後神経痛の治療法
1）神経ブロック療法
①硬膜外ブロック：脊髄周囲に局所麻酔薬やステロイドを注入することで神経損傷による痛みの伝達を一時的に遮断し、その上、硬膜外ブロックを繰り返すことにより一時的だけでなく持続した痛みの緩和も期待できます。よって痛みの強い帯状疱疹後神経痛の治療には硬膜外ブロックを第一選択とする事が多いです。
帯状疱疹早期に硬膜外ブロックを行うことで帯状疱疹後神経痛の発症予防にも効果があります。
②星状神経節ブロック：頸部にある星状神経節に局所麻酔を注入することで、交感神経をブロックし痛みを緩和します。帯状疱疹後神経痛が顔面や頚部に痛みがある場合に使用されます。
③肋間神経ブロック：胸部の肋間神経に直接ブロックを行い、胸部の帯状疱疹後神経痛を抑制します。
2）薬物療法⇒治療の効果・副作用を評価し少量から始め薬剤を変更・併用など細やかに痛みをコントロールする必要がありますが当院ではきめ細やかに処方しますので、安心して受診頂けます。
①抗けいれん薬：神経の異常な興奮を抑えることで神経痛を軽減します。帯状疱疹後神経痛の第一選択薬として中心的な薬剤で副作用が比較的少なく高齢者の方にも適応されやすいです。
②抗うつ薬：痛みを和らげる神経伝達物質のバランスを改善し、痛みを抑制します。神経痛に対する効果が広く認められており、帯状疱疹後神経痛と同時にうつ症状がある方にも有効です。
③鎮痛薬：鎮痛薬は痛みを直接抑えることを目的としますが、帯状疱疹後神経痛は炎症性でなく神経障害性の痛みであるため鎮痛薬の効果は限定的で補助的な位置づけとなります。
3）物理療法⇒患部に電気・高周波・レーザー等を当てることで神経を刺激し疼痛抑制し帯状疱疹後神経痛に補助的効果あり。
4）認知行動療法⇒慢性疼痛患者に対して心理的サポートや行動療法を組み合わせることで、痛みの認識や対処法を改善し、痛みの軽減と同時に不安やうつ症状を緩和することができます。

3．ワクチンによる予防

3．ワクチンによる予防
帯状疱疹予防ワクチン（シングリックスや生ワクチン）は帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛の予防に効果的です。ワクチン接種により、帯状疱疹の発症率とそれに伴う神経痛の発生率が低下します。
★帯状疱疹後神経痛の治療には、痛みや感覚異常の強さなどの症状に応じて、神経ブロック療法を中心に、薬物・物理・心理療法を組み合わせ、患者様の状態に応じて最適な治療法を選択することが重要です。当院では、ペインクリニックと心療内科で心身面から総合的治療が可能ですので、ぜひご相談下さい

他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる

昔近所のお寺に月替わりで張り出される標語があり、その中に「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」という言葉がありました。
この標語だけとても印象に残り、ずっと覚え続けていました。
今は治療の中でとても意味深い言葉と感じています。
診察の中で、「知っている人が少し遠くを歩いていたので、『こんにちは』と声をかけた。ところが、その人は何も言わずに通り過ぎた」という出来事があったとします。
そんな時、あなたならどう考えますか？と尋ねることがあります。「無視をされた」という人もいれば、「聞こえなかったのかもしれない」という人もいます。
ここで大事なのは主語です。あくまで考えているのは私で、それぞれ後ろに「…と私は思う」がついて、主語は私です。
相手が主語なら変えられませんが、自分が主語だと変えられる可能性が出てきます。「無視をされた」と考えると悲しかったり、腹が立ったりして「もう挨拶しない」と思うかもしれません。
他方、「聞こえなかったのかもしれない」と考えることができれば、「今度はもう少し大きな声で挨拶してみよう」などと思え、未来も変わります。
①小さいころ親から「きちんとしなさい」とずっと言われていた
→②仕事や家事が完璧にできていないと自分はダメな人間と思ってしまう
→③最近忙しくて仕事も家事も思っている7割くらいしかできていない
→④そんな自分はダメな人間と思う
→⑤気分が落ち込む
→⑥動けなくなる。
次にこの流れを例にして考えてみましょう。
①は過去の他人の言動なので変えられません。
②は身についてしまった「考え方の癖」で一見過去のことのように思えますが、実は今も持ち続けているものなので主語は現在の私になります。
③の‘最近忙しくて’は自分では変えられないものなので他人に含めます。
④は私が主語です。なので②と④が変えられるポイントになります。その2か所に良い変更ができれば④から見て未来の
⑤と⑥の「気分が落ち込んで動けません」は良い方向に改善します。

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通信vol.33(「顔面痛(歯口顔舌の痛み)症例」「睡眠のトラブルでお悩みの方へ」): (2011/11/09)
通信vol.32(「頚椎症・肩こり症例」「原因不明の痛み、歯・口・顔の痛み」): (2011/08/31)
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通信vol.27（「帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛②」「うつ病」）　: (2010/12/01)
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通信vol.25（「関節内注射」）: (2010/07/15)
通信vol.24（「不眠症」）: (2010/05/27)
通信vol.23（「星状神経節ブロック」「ストレスと病気」）: (2010/03/03)
通信vol.22（「ペインクリニックと心の治療」）: (2010/01/15)
通信vol.21（「硬膜外ブロック」）: (2009/11/30)
通信vol.20（「肋間神経痛」）: (2009/11/06)
通信vol.19（「トリガーポイント注射」）: (2009/09/01)
通信vol.17（「アレルギー疾患」）: (2009/03/10)
通信vol.16（「変形性膝関節症②」）: (2009/03/10)
通信vol.15（「冷え性」）: (2008/11/24)
通信vol.14（「更年期障害」）: (2008/11/24)
通信vol.13（「自律神経失調症」）: (2008/09/03)
通信vol.12（「変形性股間節症」）: (2008/07/03)
通信vol.11（「花粉症」）: (2008/04/30)
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