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痛信vol.81「術後慢性痛について」、「ベンゾジアゼピン系抗不安薬の減量方法」

「術後慢性痛について」

1.「術後慢性痛」とは?


「術後疼痛」とは「手術による侵襲(炎症・神経障害)で起こる痛み」のことで、通常「術後急性痛」で終ることが多いですが、「術後慢性痛」となるケースがあります。
―儻綉淦痛⇒一般的には体表面手術なら1〜2日、開腹手術なら5〜7日で痛みが緩和するとされています。
⊇儻緞性痛⇒術後3ヶ月時点において創部近傍の痛みの再発、又は、持続する痛みがある場合とされています。5人に1人が「術後慢性痛」で悩んでいるという1998年ペインクリニック調査結果がきっかけで「術後慢性痛」が注目されだしました。「術後慢性痛」は、昔は「病気」と認識されておらず、まだまだわかっていないことが多いです。

2.「術後慢性痛のメカニズム」と「術後慢性痛が起きやすい要因」は?


術後疼痛は、手術で組織(皮膚・筋肉・内臓・骨・神経)に損傷がおこり一次性の炎症性の末梢神経の興奮である「術後急性痛」が起こり、それが続くと二次性の中枢性の興奮が増大し「術後慢性痛」として長期に痛みが続きます。「術後慢性痛」にならないためには、術後急性期の痛みを出来るだけ早期に緩和し中枢性興奮を防止することが重要です。

「術後慢性痛」が起きやすい要因は、下記の因子があればあるほと、「術後慢性痛」の頻度が高いと言われています。
術前からある慢性痛(術前から存在する痛み)
心理的要因(不安・抑うつ、手術翌日の不安)
神経障害
強い急性期の術後痛(手術翌日の術後痛)
若年者、女性、遺伝的素因
「術後慢性痛」には多くのリスクファクターが提唱されていますが、特に―兪阿遼性痛、⊃翰的要因、神経障害は関連が強いことがわかっています。「術後慢性痛」は痛みだけでなく日常生活や社会生活の活動性(活動度・歩行・仕事・気分・睡眠・生活の楽しみ・他者との関わり)が悪化する傾向にあり、社会的な損失で大きな問題です。

3.「術後慢性痛の予防法」と「課題とこれからの取り組み」



<術後慢性痛の防止効果がある治療> 
ペインクリニック調査
硬膜外ブロック⇒○
末梢神経ブロック⇒△
神経障害性疼痛⇒△
非ステロイド性消炎鎮痛薬・ステロイド・ オピオイド⇒×  
「術後慢性痛」の予防には、上記の調査結果が示すように、術後出来るだけ早期に大きな効果をしめす「硬膜外ブロック」や「末梢神経ブロック」や「神経障害性疼痛薬」などの治療を実施し、「術後急性痛」を早期に緩和し、「術後慢性痛」になることを防止することが重要です。

術前から術後まで継続的に痛みを診療することが必要です。「術後慢性痛」の治療にはペインクリニックによる痛みの性状・心理状態の変化を評価するチーム診療が求めらます

「ベンゾジアゼピン系抗不安薬の減量方法」


抗不安薬のほとんどは「ベンゾジアゼピン」と呼ばれる化学物質でできているお薬で「ベンゾジアゼピン系抗不安薬」と呼ばれます。大量に飲んでも直接命にかかわらないため、安全なお薬として治療に用いられてきました。ただし、下記のような副作用と問題点があるため、症状が安定してくれば、定期服用は減量・中止を目指し、頓服(必要なときに服用するお薬)にとどめていくことが理想的です。
●依存性、●眠気、●ふらつき、●認知機能の低下
このうち依存性には、下記2つのパターンがあります。
■どんどんとお薬の量が増えてしまう。
■やめるのが不安でやめられなくなる。
抗不安薬では、後者がとても多く、良くなっているにもかかわらず減量しようとすると、しんどさを感じ、薬を減らせません。
かといって、量が増えていくわけでもないので「常用量依存」と呼ばれます。抗不安薬の中でより「常用量依存」になりやすいものには、下記2つの特徴があります。
○作用が強い、○作用時間が短い
つまり、効果が強くて即効性のある薬ほどやめにくく感じます。では、どのような抗不安薬の減量方法があるのでしょうか?
当院では、以下のような方法を案内しています。
〜恩宰(間隔はそのままで服用量を少しずつ減らす方法)
今服用している薬を少しずつ減らしていきます。
半錠に割った形で処方し、調子のいいときは半錠で試していただくこともあります。薬が必要な時とそうでない時の
区別ができるようになると、頓服扱いに変えていけます。
∧冖
「やめにくいタイプの薬」から「やめやすいタイプの薬」にゆっくり変更します。依存の問題がない漢方薬を追加することもあります。その上で、漸減法を行います。
主剤の十分な処方
不安症・パニック症はSSRI剤、慢性疼痛は各種抗うつ薬、気分が不安定な時は気分安定薬などが治療の主剤(中心薬剤)です。これら主剤(中心薬剤)が足りていない状態の方には十分な量を処方した上で、抗不安薬の減量を行います。
★抗不安薬には即効性が期待できるという特徴があり正しく使えば非常に有用なお薬です。心療内科の治療では気持ちや症状が落ちつくことで、物事のとらえ方が変わることも少なくありません。また、このお薬があれば大丈夫という安心感も、症状の再燃・悪化を減らしてくれます。正しい理解を深めていただき、より良い治療につながれば幸いです。



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